日本書紀に出てくる「天甜酒 (あまのたむざけ)」
というお酒が、甘酒の起源だと言われています。
この天甜酒は、アルコール分が少なく、甘酸っぱくて
どろりとした飲み物だったとされています。
また、このお酒は、水に浸した米を口に含むことで、
唾液に含まれる酵素を利用して作られていたようです。
農耕民族である日本人にとって、農耕と神々は
深い関わりがあるとされ、農作物からできるお酒は、
神事に不可欠なものだったのでしょう。
平安時代では、甘酒は貴族の飲み物として、
真夏に冷やして飲まれていたようです。
中国の醸(れい)というお酒が持ち込またことで、
貴族の間でお酒を飲む習慣が浸透し、様々な種類の
お酒が飲まれるようになったとされています。
また、室町時代になると、一般でもお酒が売られるようになり、
庶民の間でもお酒が飲まれるようになりました。
しかし、当時のお酒は、主に麹の糖化によって作られた
甘いお酒で、今日の日本酒とは異なるものだったそうです。
この甘いお酒が進化し、アルコールを含まない、
現在のような甘酒になったと言われています。
江戸時代になると、様々なものを売る行商が盛んとなり、
甘酒売りが登場するようになりました。
当時は、夏の風物詩として、夏バテ防止に甘酒が飲まれており、
「お金持ちは鰻、庶民は甘酒」が夏の定番だったようです。
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現在でも、俳句では甘酒が夏の季語となっています。
その後、甘酒は体を温めるため、大寒ごろの
寒い冬に飲まれるようになりました。
また、冬は酒粕が最も多く出回る季節であるため、
酒粕を使った甘酒が冬によく飲まれるようになった、
という説もあるようです。